学位論文要旨



No 125037
著者(漢字) 大野,里奈
著者(英字)
著者(カナ) オオノ,サトナ
標題(和) PTBによるCDK11p58のIRES依存的翻訳を介したマウスES細胞の細胞周期制御
標題(洋) Polypyrimidine Tract-binding Protein Regulates Cell Cycle Through IRES-dependent Translation of CDK11p58 in Mouse ES cells
報告番号 125037
報告番号 甲25037
学位授与日 2009.03.23
学位種別 課程博士
学位種類 博士(生命科学)
学位記番号 博創域第455号
研究科 新領域創成科学研究科
専攻 メディカルゲノム専攻
論文審査委員 主査: 東京大学 教授 吉田,進昭
 東京大学 教授 井上,純一郎
 東京大学 教授 北村,俊雄
 東京大学 教授 清木,元治
 東京大学 教授 山本,雅
内容要旨 要旨を表示する

[Summary]

本研究では、マウス胚性幹(ES)細胞においてpolypyrimidine tract-binding protein(PTB)がCDK11(P58)のinternal ribosome entry site(IRES)依存的翻訳を直接抑制することにより、M期の進行を制御していることを、増殖能が低下するPtb欠損(ptb(-/-))ES細胞を用いてPTBの機能を解析し、明らかにした。今まで分化細胞においてPTBがup-stream of N-ras(UNR)という因子を介してCDK11(P58)の発現を抑制しているということが知られていたが、ES細胞においてはUNRを介さず、PTBが直接CDK11(P58)のIRES活性を抑制していることが本研究で示された。 PTBによる直接的なCDK11(P58)の制御は、ES細胞特有の制御機構であると考えられる。

[Introduction]

ES細胞は、胚盤胞の内部細胞塊より樹立される、多分化能と自己複製能を持つ細胞である。その多分化能と高い増殖能により、再生医療への応用が期待されている。近年では、体細胞に特定の因子を発現させることで、ES細胞様の多分化能をもつinduced pluripotent stem(iPS)細胞を作り出す技術が開発され、再生医療への応用に対する期待が一段と高まっている。ES細胞、 iPS細胞を再生医療に用いる際にはそれぞれいくつかの間題が存在するが、どちらの細胞もその高い増殖能により生体内でがん化するという危険性が、共通の問題点として挙げられる。細胞の倍化時間は、例えばmouse embryonic fibroblastが約20時間であるのに対して、 ES細胞は8-10時間と短い。また、これらの多能性細胞はがん細胞に類似した性質を有し、生体内に移植した細胞の分化と増殖を制御しないと、がん化してしまうのである。しかし、この高い増殖能の制御機構には未だ不明な点が多く、ES細胞の高い増殖能がどのような機構で維持されているのかを明らかにすることは再生医療への応用を考える上でも重要な課題となっている。

ES細胞の高い増殖能の原因はその特徴的な細胞周期制御にあると考えられており、その特徴に関する解析がさかんに行われてきた。ES細胞ではG1期が短く、多くの細胞がS期にあり、チェックポイントがほとんど機能していないという特有の細胞周期をもつことが分かっている。このような細胞周期の制御機構を解明するため、細胞周期調節因子の発現などが調べられており、例えばRbが細胞周期を通し常に高リン酸化状態にあるということや、分化細胞では発現に周期性を持ち、細胞周期の調節に重要であるサイクリンやサイクリン依存的キナーゼなどが、常に高発現していることがわかってきている。しかし、なぜこのような状態でES細胞の細胞周期が正常に維持されるのか、なぜサイクリンなどの変動が起こらないのかといった疑問は未だ解明されておらず、ES細胞の持つ高い分化能との関連性や、生体内に移植した際にがん化を抑制する方法に関する理解が望まれている。

そこで、本研究では当研究室で作成した、増殖能の顕著な低下を示すptb(-/-)ES細胞を用いて、このES細胞の増殖能低下の原因及びES細胞の細胞周期の解析を試みた。 PTBはhnRNP family memberであり、ピリミジンに富む配列に結合する因子として1991年に同定 され、生体内では多くの組織で発現していることが知られている。PTBは4つのRNA認識モチーフと1つの核局在・核移行シグナルを持つ、約56kDaのタンパクである。PTBは主にmRNAの制御に関与しており、知られている機能としてはinternal ribosome entry site(IRES)依存的翻訳、選択的スプライシング、ポリA付加、mRNAの安定性や局在の制御などが挙げられ、多機能な因子として知られている。近年、がん細胞においてPTBの発現が上昇しており、その発現をノックダウンすると腫瘍細胞などにおいて増殖が抑制されるという報告があり、がん化や細胞増殖との関係性が強く示唆されている。しかし、PTBがどのように細胞増殖制御に関わるのかについては、今のところまったくわかっていない。

当研究室ではptbノックアウトマウスを作成してその表現型解析を行ってきた。その結果ptbノックアウトマウスは着床前後の時期(胎生4-6日)に致死であることがわかった。ptbノックアウトマウスの胚盤胞において内部細胞塊マーカー(Oct-3/4, Nanog and Rex-1)の発現を調べたところ、野生型マウスと同様の発現が確認されたことから、ptbヘテロマウスを交配して得られた胚盤胞からES細胞株の樹立を試みたが、ptb(-/-)ES細胞を得ることはできなかった。そこで、 Cre-loxPシステムを用い、相同組み換えにより2クローンのptb(-/-)ES細胞を樹立した。ptb(-/-)ES細胞はフィーダー細胞上でES細胞特有のコロニーを形成したが、野生型と比べてコロニーが小さく、増殖の顕著な低下が認められた。これらの結果から、PTBがマウスの胚発生初期において重要な役割を持つということ、さらにES細胞での増殖に関与していることが明らかとなった。

ptb(-/-)ES細胞にみられる顕著な増殖能低下の原因を突き止めるため、本研究ではPTBの機能の一であるIRES依存的翻訳制御とES細胞の細胞周期の関係性に着目した。I RESはcap非依存的にリボソームをリクルートするmRNAの上の構造で、1988年にウィルスのRNAにおいて見い出された。その後、2001年にIRES構造を持つ細胞内のmRNAが発見され、アポトーシス、低酸素状態、M期などに発現する幾つかの因子がIRES依存的翻訳制御を受けていることが次々と報告されている。M期においては、eIF4Eの機能が抑制されることによりcap依存的翻訳が低下し、 IRES依存的翻訳へのシフトが起こることが知られている。ES細胞でのIRES依存的翻訳制御の重要性についてはほとんど知られていないが、PTBを欠損させると増殖能が低下することから、 ES細胞の細胞周期制御におけるIRES依存的翻訳制御の異常が増殖能の低下につながっているのではないかと考えて研究を進めた。

[Result]

野生型とptb(-/-)ES細胞の増殖をWST-1 assayにより調べたところ、ptb(-/-)ES細胞は野生型に比べて増殖が遅いことが確かめられた。また、培養中の生細胞の割合は野生型と差がないことなどから、ptb(-/-)ES細胞の増殖が遅いのは、細胞死などが起きているためではないことを確認した。

PTBは多機能な因子であるが、その機能は大きく核内でのものと細胞質でのものとに分けられる。PTBの核内での機能としては選択的スプライシング、ポリA付加などがあり、細胞質ではIRES依存的翻訳、mRNAの安定性や局在の制御などが挙げられる。これらのPTBのどの機能がES細胞の増殖に影響しているのかを推測するため、PTBの細胞内局在に着目した。PTBは通常核に局在するが、16番目のセリンがリン酸化されることにより、細胞質に移行するということが知られている。そこで、16番目のセリンをアラニンまたはアスパラギン酸に置換して、リン酸化が起こらないものと、リン酸化を擬態した二つの変異体を作成し、それぞれをptb(-/-)ES細胞に発現させて増殖の回復を調べた。その結果、どちらの変異体を発現させても増殖が回復することが分かった。このことから、PTBは核と細胞質の区別がなくなる、 M期において機能しているのではないかと考えた。

そこで、thymidine-nocodazole blockにより細胞をM期前中期で同調培養し、フローサイトメトリーにより細胞内DNA量を測定することで細胞周期の進行を調べた。その結果、 ptb(-/-)ES細胞は野生型と比べてG1期ピークの出現が遅く、GI期への移行が緩やであり、M期の進行・離脱が遅いということが明らかになった。

Ptb(-/-)ES細胞のM期の進行・離脱が遅い原因を突き止めるため、細胞周期調節因子としてよく知られている、サイクリンやp53などのmRNAの安定性及びタンパクの発現量を調べたが、野生型と比べて顕著な違いは見られなかった。

そこで、DAPIによる染色体の可視化を行ったところ、ptb(-/-)ES細胞において多核や染色体分配の増加が観察された。

これらの結果からM期において染色体分配に関与するCDK11(P58)という因子に着目した。

CDK11はCDK11(P110)とCDK11(P58)の二つのアイソフォームを持ち、 CDK11(P110)はcap依存的に翻訳され、スプライシングなどに関与するということが知られている。CDK11(P58)はp110のmRNAにあるIRESからp110と同じ読み枠で翻訳され、 M期の進行・離脱に関与するキナーゼであるという報告がある。CDK11(P58)がIRES依存的翻訳制御を受けるということと、 M期の進行・離脱に関与する因子であるということから、ptb(-/-)ES細胞のM期の進行・離脱の遅れの原因はCDK11(P58)の発現異常にあるのではないかと考えた。実際に、M期におけるCDK11(P58)の発現量を調べてみると、野生型ES細胞においてはM期の進行に伴って発現が増加し、その後減少するという傾向にあるのに対し、ptb(-/-)ES細胞ではそのような変動が見られず、常に高発現している傾向にある事がわかった。さらに野生型ES細胞のM期におけるPTBの発現は、 CDK11(P58)の発現パターンと逆相関して変動していることが明らかになった。これらの結果から、PTBがCDK11(P58)の発現を抑制している可能性が示唆された。

次に、CDK11(P58)の発現が変動する原因を調べるために、 M期におけるCDK11(P58)のmRNAの発現をノザンプロッティングにより調べたが、野生型とptb(-/-)ES細胞とでは発現パターンに差は見られなかった。CDK11(P58)はIRES依存的翻訳制御を受けるという報告があるので、ptb(-/-)ES細胞におけるCDK11(P58)のIRES活性をレポータージーンアッセイにより調べた。 CDK11(P58)のIRESは過去に報告のある、CDK11(P58)の開始メチオニンから上流約400bの領域を用いた。その結果、 ptb(-/-)ES細胞では野生型に比べてCDK11(P58)のIRES活性が促進されており、またPTBの発現によりCDK11(P58)のIRES活性が抑制されることが示された。このことから、 PTBがIRES依存的翻訳を介してCDK11(P58)の発現を制御しているということが考えられた。

PTBによるCDK11(P58)の類制御に関しては、2007年にup-stream of N-ras(UNR)を介した抑制機構が報告されている。UNRはIRES制御因子であり、CDK11(P58)のIRES活性を促進するが、 UNR自身のIRES活性がPTBにより抑制されており、PTBはUNRの発現制御を介して間接的にCDK11(P58)の発現を抑制していると考えられている。そこで、ES細胞で見られたCDK11(P58)の変動がUNRを介した制御であるかどうかを検証するため、UNRのM期における発現の変化を調べた。その結果、UNRのタンパク量はM期において変動しないということが新たに分った。この結果はM期におけるCDK11(P58)の発現量の変動は、 UNRによるものではなく、PTBによる直接の制御である可能性を示唆している。UNRの発現パターンに関しては、93T細胞などではM期に発現が上昇するという報告があるが、ES細胞ではそのような変動は見られなかった。また、非同調時あるいはM期におけるUNRの発現量は、野生型とptb(-/-)ES細胞において差は見られなかった。これらの結果から、UNRはES細胞において既に報告されているPTBによる制御ではなく独自の制御を受けており、またUNRの機能自体も他の細胞とは異なると考えられる。

UNRの発現量を調べた結果、 ES細胞ではPTBが直接CDK11(P58)のIRES依存的翻訳を制御している可能性が示唆されたことから、PTBがCDK11(P58)のIRESに直接結合するかどうかを、 CDK11(P58)のIRESを用いたRNA EMSAを用いて調べた。PTBは大腸菌で発現させたものを精製して用いた。その結果、PTBはCDK11(P58)のIRESに直接結合することが明らかになった。

以上の結果から、ES細胞ではPTBがUNRを介さず直接CDK11(P58)のIRESに結合してCDK11(P58)の発現を抑制し、M期の正常な進行・離脱を制御していることが示された。

[Discussion]

本研究では、ES細胞においてPTBがM期の進行・離脱に関与するキナーゼであるCDK11(P58)のIRES依存的翻訳を直接抑制することにより、M期の正常な進行を制御していることを明らかにした。また、本研究によりES細胞特有のCDK11(P58)のIRES依存的翻訳制御機構が明らかになった。ES細胞の細胞周期制御において、 IRES依存的翻訳の重要性に関しては今まで明らかにされていなかったが、ES細胞においてもM期におけるIRES依存的翻訳制御が起こることが分った。これはES細胞のM期制御においてIRES依存的翻訳の制御が重要であることを示した初めての研究である。

CDK11(P58)はM期の進行・離脱に関与するキナーゼであるが、その詳しいターゲットについては分かっていない。しかし、M期におけるCDK11(P58)の過剰発現は中心体の過形成などを引き起こし、正常な染色体分配を抑制して、M期の正常な進行を妨げることが知られている。本研究の結果から、ptb(-/-)ES細胞において染色体の異常な分配などが増加していることが明らかになった。このことからptb(-/-)ES細胞のM期の遅れはCDK11(P58)の過剰発現による染色体の分配異常であることが示された。

分化した細胞では、PTBはUNRを介してCDK11(P58)のIRES活性を抑制しているが、 ES細胞では直接抑制していることが示された。こうした分化細胞との違いは、IRESの活性を制御する因子群の発現の違いが原因であるかもしれない。また、ES細胞ではより速く細胞周期を進行させるために、より短い経路による素早いタンパク発現の制御が重要である可能性が考えられる。

ES細胞においてもIRES依存的翻訳制御が起こっていることは新たな知見であった。分化細胞ではM期においてcap依存的翻訳からIRES依存的翻訳制御へのシフトが起こるが、そのような変化がES細胞でも起こっていると考えられる。また、サイクリンなどの発現が変動しないことから、細胞周期でタンパク量を変動させるIRES依存的翻訳制御がES細胞では分化細胞以上に重要になっている可能性があると考えている。

また、PTBの発現がM期で変動していることは今まで報告されていない新しい知見である。 ES細胞では細胞周期中に発現量に変動がある因子はあまり知られていない。このPTBの急激な発現量の変動がどのように制御されているかを明らかにすることは、今後の課題である。変動するタンパクの制御機構を明らかにすることで、サイクリンなどが変動しない原因や理由を明らかにすることができるかもしれないと考えている。現在、PTBに見られる、タンパク量の変動はユビキチン・プロテアソーム系による分解制御かもしれないと推察している。サイクリンなどはプロテアソームによる分解制御を受けているが、ES細胞でこれらのタンパクの発現量が変動していないことを考えるとユビキチン化のメカニズム、特に細胞周期に関与するユビキチンライゲースの働きが他の細胞とは異なり、このことによってES細胞特有の細胞周期が維持されているのではないかと考えている。

審査要旨 要旨を表示する

本論文では、マウスES(embryonic stem)細胞においてPTB(polypyrimidine tract-binding protein)がCDK11(P58)のIRES(internal ribosome entry site)依存的翻訳を直接抑制し、M期の進行・離脱に関与していることを明らかにした。

また、体細胞とは異なる、ES細胞特有のIRES依存的翻訳制御経路を明らかにした。

本論文では、まずptb欠損(ptb(-/-))ES細胞の解析を行い、増殖能が低下していることを明らかにし、その原因はM期の進行・離脱が遅れているためであることを明らかにした。

ES細胞のM期の進行・離脱の制御に関する研究はほとんどなされていなかったが、ptb(-/-)ES細胞のM期後期に見られた染色体分離異常が、 CDK11(P58)の発現異常で起こる染色体分離異常と酷似していたことから、ES細胞におけるCDK11(P58)の発現とその制御に着目している。

CDK11(P58)の発現はES細胞のM期において変動することが明らかになったが、ptb(-/-)ES細胞では変動せず、高発現していることが明らかになった。そこで、CDK11(P58)の発現異常がptb(-/)-ES細胞のM期の進行・離脱の遅れの原因になっていると考え、 CDK11(P58)の発現制御について解析を行っている。

CDK11(P58)のRNAの発現パターンは野生型とptb(-/-)ES細胞で差がなかったことから、CDK11(P58)のIRES依存的翻訳制御の解析を行い、PTBはCDK11(P58)のIRES活性を抑制することを明らかにした。

先行研究により、体細胞においてPTBがCDK11(P58)のIRES活性を抑制することが報告されていたが、本論文によりES細胞においてもPTBがCDK11(P58)のIRES活性を抑制することが明らかになった。

しかし、その制御経路は体細胞で報告されているものとは異なるものであることを明らかにした。

体細胞ではPTBがUNR(upstream of N-ras)の発現を介してCDK11(P58)のIRES活性を間接的に抑制していることが報告されていた。UNRはCDK11(P58)のIRES活性を促進するが、PTBによりUNRのIRES活性が抑制されていると考えられていた。

しかし、ptb(-/-)ES細胞でUNRの発現が亢進していなかったことから、 ES細胞ではPTBによるUNRの発現抑制が起こっていないことが示された。さらに、 M期においてUNRの発現が変動していなかったにも関わらず、CDK11(P58)の発現が変動していたことから、ES細胞においてはUNRによるCDK11(P58)のIRES依存的翻訳制御が起こっていないことが示された。

一方で、PTBの発現がES細胞のM期において変動していたことから、ES細胞ではPTBがCDK11(p58)のIRES依存的翻訳を直接抑制しているのではないかと推察した。

RNAゲルシフトアッセイ及び、UV crosslinkingと免疫沈降実験から、PTBがCDK11(p58)のIRESにin vitro、 in vivo共に結合することを明らかにした。また、in vivoではES細胞特異的な結合が観察された。

これらの結果から、ES細胞ではUNRの発現を介さず、PTBが直接CDK11(P58)のIRES活性を抑制していることを明らかにした。

本論文により、PTBの欠損はES細胞のM期においてCDK11(P58)の発現異常を起こし、染色体分離異常の増加により、M期の進行・離脱に遅れを引き起こすことを明らかにした。

さらに、ES細胞においてPTBが体細胞とは異なり、CDK11(P58)のIRES依存的翻訳を直接制御しており、ES細胞特有のIRES依存的翻訳制御経路が存在することを明らかにした。

ES細胞の細胞周期制御に関してはG1期の制御に関する研究が近年進んできているが、細胞周期により発現が変動する因子の解析なども含めて、未だ不明な点が多い。本論部により、ES細胞特有の細胞周期制御機構の一端を明らかにすることができ、その研究成果は評価に値すると考えられる。

したがって、博士(生命科学)の学位を授与できると認める。

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